こんな方におすすめ
- ITエンジニアの残業が多い理由を知りたい方
- ITエンジニアの残業を減らす方法を知りたい方
もくじ
ITエンジニアに残業が多くなる理由
ITエンジニアは残業が多くなりがちな職業です。
なぜなら「システム開発のプロジェクトは想定通りにいかない」からです。
いや、そんなことはない。どんな困難なシステム開発のプロジェクトであっても正確なスケジュールを引くことができて、始まりから終わりまでのすべてを見通し、全責任を担うプロジェクトマネージャーがいて、開発メンバーを導くことができる。本来プロジェクトとはそういうものであり、そうであるべきである。このように考える方もいらっしゃると思います。
システム開発会社の人間は、ITのプロフェッショナルであり、プロであるからには想定通りにプロジェクトを進めることを期待されます。それは契約を結び、実際に対価を支払う顧客側とすれば当然の前提ですが、現実のうえでは裏切られるものです。
こんなシステムが欲しいと考えていたが、意思疎通がうまくいかなかったり、重大な見落としがあって当初の考えを180度変える必要が出てきたり、メンバーが急にいなくなったり、理想と現実はプロジェクト開始後からどんどん乖離していくものです。
実際に開発に着手すると、当初考えていた通りにはいかないことが分かってきます。そこですぐさま方向転換して新たな計画を立てることができればよいのですが、様々な事情や利害が邪魔をしてそれができずに失敗してしまうことは多いものです。
顧客と約束したから、世の中にすでに発表してしまったから、予算がオーバーするから、そのような理由で「メンバーみんなの頑張りでなんとかしよう!」という事態が発生します。
誤解してほしくないのですが、決してプロジェクトの上層部が無責任であったり怠慢であるからこのような事態になるわけではないのです。末端のエンジニアよりもリーダーやマネージャークラスのほうがはるかに働いているのが一般的でしょう。決して無能な訳ではないプロフェッショナルたちが自らの役割を誠実に果たそうと全力を尽くして頑張っている。だけどうまくいかない・・・。そんなことのほうがむしろ多いのです。
では、どうしたら想定通りにいかないプロジェクトで残業を減らすことができるのでしょうか。
※IT業界に残業が多くなる理由については別の記事でも記載していますので参考にしてください。こちらについても、抽象化すれば「想定外の出来事が発生した」という点では同じになります。
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参考IT業界に残業が多い理由は?納期厳守とシステム障害の現場事情
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想定通りにいかないプロジェクトで残業を減らす方法
まず、前提となる考え方を変えましょう。
「システム開発のプロジェクトは想定通りにいかないことが悪である」と考えるのではなく、「システム開発のプロジェクトは想定通りにいかないのが当たり前である」というふうに考えてみてください。
プロジェクトが想定通りに進まないのは、顧客のわがままのせいでも上層部が無茶ぶりするせいでもメンバーが無能なせいでもありません。IT業界におけるプロジェクトとは、そもそも、想定通りにはいかないようにできているのです。その性質に気付かずに、当初立てた計画が予定通りに進むと思い込んでプロジェクトを進めると、少しずつ問題が積み重なり、最初は小さな問題だったものが最後は大きな被害をもたらします。
バラ色のシナリオが色あせることを許さない圧力や、顧客を失望させたくないという感情、やればできるはずだという思考、プロジェクトが失敗するというリスクを口にすることの恐怖から、しばしば現実の問題をしっかりと認識できない事態が発生してしまいます。
想定通りにいかないのが当たり前のプロジェクトでは、常に曇りなき眼で現実の問題を直視し続け、リスクを認識し、リスクを管理することがなにより大切になります。リスクを認識するというのは「うまくいかない」「失敗する」可能性を考えることです。
【リスク】1.将来起こりうる出来事で、望まない結果を生むもの。2.望まない結果そのもの
組織によってはそういった後ろ向きの発言を許さない文化があり、それが炎上への道へつながっています。そういった組織では、しばしば現場と管理者との認識齟齬が信じられないほど開いていることがあります。現場の人間はもう無理だと分かっているのに誰も声をあげられず、管理者だけが現状を誤認した状態のままプロジェクトが進行し、いざデッドラインとなったときに全く計画通りにいっていなかったことが発覚するようなパターンです。
そのようなことにならないために、リスクから逃げずに立ち向かう文化を作っておく必要があります。そして関係者全員でリスクを明確に認識し、それに従って計画を立てる必要があります。それがリスク管理です。
ITエンジニアはすべてが決定された理想の世界で働いているのではなく、すべてが不確実な現実の世界のなかで働いているのです。プロジェクトは常に変化し、未来は不確実な現実世界のなかで当初立てた計画に固執することは愚かなことです。
プロジェクトを計画通りにいって当たり前の前提で進めるのではなく、プロジェクトは計画通りにいかない前提で進める必要があります。
多種多様な想定外の事象が発生するプロジェクトでは、計画と現実との差分を定期的に観測し、関係者で現状を共有し、リスクに対して対処する方法を協議し続けることが重要です。そして、隠れた問題を認識し、問題を先送りせずに根本原因の解決を積み重ねていくことが、最終的に全体の残業削減につながります。
まとめ
ITエンジニアの残業は、関係者が根本となる問題を認識し、意識を改革すれば改善できるはずです。
ソフトウェアの開発というのは計画通りにいって当たり前ではないのです。歴史的にも失敗したプロジェクトはたくさんあります。それは個人の能力のせいではありません。
大事なことは「わからない」ということをタブー視しないことです。「わからない」という事実をごまかしてはいけないのです。わからないことにはリスクが潜んでいます。
リスクはいずれ大きな問題に発展し、真面目なエンジニアが残業でカバーするような事態につながってしまいます。わからないことはリスクとして管理し、しっかりと対策することで、問題の芽をつぶしておきましょう。
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